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ペット犬の遺伝病と遺伝子検査のページ
 犬の遺伝子検査と親子鑑定

 遺伝病とは?(ここに説明があります) 

1.  遺伝性眼疾患  説明PDF
犬の遺伝性眼疾患は以下のように多数あり、PRAはその1つになります(日本大学教授:津曲茂久氏による)。
(1) 進行性網膜萎縮(81犬種)
・眼瞼内反症(G.レトリーバー、コリー 、グレート・ピレニーズ、コッカースパニエル、ブルドック 、シーズー、トイプードル など)
(2) 角膜変性症(アメリカン・コッカー・スパニエル 、エアデールテリア、シベリアンハスキー など)
(3) 白内障(若年性も含む)(PRA犬種の中の41種)
*白内障ではPRAの確定診断である網膜電位検査(ERG)ができませんので、もしPRAを併発すると白内障治療は意味が無くなります。
(4) 第三眼瞼軟骨の反転(ワイマラナー、ニューファンドランド、セ ントバーナード など)
(5) 第三眼瞼の色素欠損 (コリー、シェルティー)
(6) 第三眼瞼軟骨の反転 (ワイマラナー、ニューファンドランド、セントバーナード など)
(7)第三眼瞼腺突出 (ビーグルや、ブルドッグ、コッカースパニエル、ペエキニーズ など)
(8)小眼球症 (ドーベルマン、オーストラリアン・シェパード、 オールドイングリッシュ・シープドッグ など)

(9) PRA(Progressive Reinal Atrophy) 遺伝性進行性網膜委縮症
PRAの原因遺伝子は現在11種類あり、代表的なものは以下の通 りですが、多くは犬種特異性があります。

●Rod-cone dysplasia(rcd)
rcd-1 アイリッシュ・セッター
rcd-2  コリー種
rcd-3  カーディガン・ウエルシュ・コーギー

●X-linked PRA   シベリアン・ハスキー、サモエド
●Dominant PRA  マスチフ、ブル・マスチフ
●Cone-rod dystrophy (RPGRIP1)ミニチュア・ダックスフント(ロングヘア)

Progressive rod-cone degeneration(prcd) 錐体桿体委縮症(ジストロフィー) 
トイ・プードル、ラブラドール・レトリーバー、アメリカン・コッカースパニエルなど 洋犬の多くに見られ、目で光を感じる網膜の桿状細胞の形成不全のため、生後しばらくしてから委縮し、夜間などで見えづらくなり、やがて昼間でも視力に支障をきたし、物にぶつかったりします。最終的には失明することが多い遺伝病です。   発症の初め頃は、人間でいえば、夜盲症のような症状が出たりします。 暗いところでぶつかるとか、怖がったりするわけです。 犬の場合は、視力が低下あるいは失っても飼い主にはなにも訴えませんし、視力検査も簡単にはできないので、いつのまにか完全に失明していることに気がつかないということにもなりかねません。 そういった状態で、部屋の模様替えをするとか、引越しするとかで周辺の状況が激変し犬がぶつかりまわったりすることで気がつくケースも多いです。 中には10歳とか経過して発症する場合もあり、早期の遺伝子診断によって発症の可能性を把握することがまずは重要です。
  トイ・プードル、ラブラドール・レトリーバー、アメリカン・コッカースパニエルなどprcd-PRAを発症する犬種は以下の通りで、 prcdは犬第9染色体の動原体の終末に位置する遺伝子(PRCD)の特定塩基の変異により発症します。その変異はSNPであり、TGC:シスチン → TAC:チロシンとなり、起こります。その変異はSNPであり、TGC:シスチン → TAC:チロシンとなり起こりますますので、この変異を検出して判定します。 ダックスフントでも、この変異は検出されますが、ヘテロ(キャリア)であっても発症したり、あるいは発症しないケースとか変異の検出に関係なく病態としてのprcdを発症する場合があり、ダックスフントでは、他の遺伝子と関連している場合があると考えられています。
prcd型PRAは検査機関の検査対象の9割くらいを占めるといわれるほど、遺伝病の中では断トツに多い病気です。
prcdの該当犬種
   アメリカン・コッカー・スパニエル、アメリカン・エスキモー、オーストラリアン・キャトル・ドッグ、オーストラリアン・シェパード、オーストラリアン・スタンピーテイル・キャトル・ドッグ、チェサピーク・ベイ・レトリーバー、チャイニーズ・クレステッド、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、エントレブック・マウンテン・ドッグ、フィニシュ・ラップフンド、ゴールデン・レトリーバー(一部)、クーバース、ラブラドール・レトリーバー、ラポニアン・ハーダー、ミニチュア・プードル、ノバ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー、ポーチュギース・ウオーター・ドッグ、シルキー・テリア、スパニッシュ・ウオーター・ドッグ、スウィーディッシュ・ラップフンド、トイ・プードル(一部別タイプ)、ヨークシャ・テリア
   注:prcd-PRA(pracd型PRAの意味)とも呼ばれます。 一般的には、他のPRAにくらべて発症年齢が高いともいわれています。  網膜で光を感じる視細胞には1.垂体と2.杆体があります。 このうち、垂体は光量子レベルの高いところ、すなわち明るいところで働く視細胞で波長(色彩)識別能力がある。 一方、杆体は暗いところで働く非常に高感度の視細胞で、1個の洸量子にも感じるといわれるほど高感度です。 両方とも網膜に不可欠の細胞ですから、杆体(cone)-垂体(rod)(cone-rod)とくっつけて呼ばれます。 これが、pracdの中のrcの由来です。"p”はprogressive (進行性)"で、”d”は"distrophy"で縮退や委縮を表す用語です。 従って”進行性杆体垂体委縮症となるわけです。
2. CEA コリーアイ

    早いと生後4週齢〜2ヶ月くらいから網膜剥離や眼房内出血を起こし、物にぶつかる、歩きたがらない、などの視力障害がでてきます。
該当犬種
    コリー、シェットランド・シープドッグ(シェルティー)、ボーダー・コリー、オーストラリアン・シェパード

3. CL セロイドリポフスチン蓄積症

セロイドリボフスチンという老廃物が脳内神経細胞に蓄積し、知覚や運動機能が失われる致死的な病気で、治療法はありません。  人間でいえば、脳神経に異物が蓄積する点においてアルツハイマー病に似ているといわれています。
該当犬種
        イングリッシュ・セッター、ボーダー・コリー

4.  TNS 遺伝性好中球減少症
同腹犬の中でも発育不良で、跛行(歩行困難)、下痢および高熱を示すことが多い。症状は生後2週間から遅くとも7ヶ月後にはみられます。細菌を補足する好中球が次第に減少し、やがて重い感染症をわずらい死亡に至ります。
該当犬種
        ボーダー・コリー

 5.  DM 変性性脊髄委縮症
6-10歳齢で発症し、後肢足の麻痺から前肢足麻痺、呼吸障害、最終的には脊髄上部の委縮のため心臓停止へと進行します。 SOD1というタンパク質の遺伝子の一塩基変異で生じる異常タンパク質が原因です。診断には,遺伝子検査結果とともに症状の獣医師による診察が必要です。
該当犬種
  ボクサー、ジャーマン・シェパード、ウェルシュ・コーギー
 
 6. VWD フォンビルブラント病
 
 VWD フォンビルブランド病 一般的な出血性の遺伝性疾患です。 血液凝固の過程において重要な役割を担う、vWD因子(以下vWF)の不足によって引き起こされます。鼻血や出産後出血が長引くなど出血時間が長引いたり大量出血により致死のタイプもあります。  VWD因子の発現量の減少により引き起こされるため、原因になる遺伝子変異は、ひとつではなく、また遺伝子のコード領域の変異による生成タンパク質の異常によるタイプと発現量を調節するプロモーター領域やvWDの発現調節にかかわる因子の遺伝子が変異するなどがあります。 vWDの血中量が60%程度以下になると発症するといわれています。 したがって、変異遺伝子がヘテロでも発症する可能性が高く、vWD因子の血中濃度を定期的にチェックすることが望まれます。 ホモですと、vWD因子の血中濃度がゼロであるため、死産か出生後まもなく死亡します。 変異のタイプによってVWD1、VWD2、VWD3、などと呼ばれます。 これらのうちで、タイプIが一般的です。 II型とIII型は、ヘテロでは発症せずホモの場合発症し症状は重篤ですがまれです。 遺伝性ではない(栄養不良による)ビタミンCの不足による壊血病とは原因が異なります。 
該当犬種
   ウエルシュコーギー・ペンブローク、ドーベルマン・ピンシャー、スコティッシュテリア他
 
7. ガングリオシドーシス GM1, GM2
  代謝異常により、脳内などにガングリオシドが蓄積する遺伝病で、生後数ヶ月で発病し運動障害を経て死にいたります。 蓄積する物質の代謝代謝遺伝子の違い)GM1とGM2に分類されています。 セロイドリポフスチン蓄積症(CL)とよくにた系統の遺伝病です。
該当犬種
   柴犬・シベリアンハスキー他




         その他の遺伝病
  
1から6に上げたものは、比較的出現頻度の高い遺伝子の変異が原因であるとともに発症頻度も高いものですが、そのほか精髄委縮症(DM)やフォンビルブランド病など(VWD)数多くの遺伝病があります。  これらの原因遺伝子や症状などについての説明も順次追加していく予定です。 遺伝病は、遺伝するので、遺伝子が関与することは間違いないと考えられますが、複数の遺伝子が関与していたり、犬種や同じ犬種でも系統によって違ったり、原因遺伝子自体が特定されていなかったりして、決して単純ではありません。 発病には、遺伝子要因以外に環境要因に依存することも多いので、注意が必要です。
   VWDのように血液凝固因子の量的発現による遺伝病の場合は、ヘテロだと発症しないで”キャリアー”、ホモだと発症するから”アフェクテッド”という単純な分類は困難な場合があります。 すなわち、変異遺伝子の発現量によって、中間的あるいは周期的なあるいは年齢的な進行を引き起こし、メンデルの遺伝の法則で習ったような、明確な優勢、劣勢という概念が遺伝子の保有に関しては当てはまっても、遺伝子発現調節や環境などの要因があり臨床症状としてみた場合、劣性だから発病しないとは限らず見かけ上メンデルの遺伝の法則が通用しないように見える場合もあります。
   また、こういった遺伝病は、犬種の育種の過程のどれかの個体に発生した変異遺伝子(異常遺伝子)が、以後掛け合わせや増殖の過程で子孫に広がったと考えられており、中には最初の親集団が特定できたケースもあります。 そういった遺伝子変異のなかで、ヘテロあるいはホモで致死的でない場合は淘汰されにくく、気がつくまでに広がってしまいます。 目の遺伝病が犬に多いのは、繁殖や成長自体には直接関係しないことと、ペットとして飼われること、そして嗅覚や触覚など目に代わる感覚器官が発達しているので気がつきにくいという事情もあります。 野生ですと、危険回避や繁殖行動、摂餌行動には当然致死的な欠陥になりますから、淘汰されるはずです。

   日本犬については、遺伝性疾患についてはあまり報告はなく、実際に少ないのか研究が充分でないのか判断は難しいところはありますが、洋犬のように急激な育種・育成によって種類と数が増やされた犬種ではなく、明治年間に洋犬との交雑が急激に進み、一旦絶滅しかけた日本犬を全国各地の犬の交雑に関して隔離的な地域から集めて育成した関係から、遺伝的には結構雑駁で欠陥が少ないということなのかもしれません。 ただし、良く知られている遺伝性と思われる日本犬の病気は、柴犬によく見られる老齢性痴呆症があり、これは柴犬の60%が罹患するといわれています。 飼い主に吠えついたり、そのうち道を忘れて家にもどれなくなって帰ってこなくなります。 放し飼いが一般的だった時代の方には覚えのあることではないでしょうか。 その他、柴犬に見られる遺伝病として、原因遺伝子のはっきりしているのがGM-1ガングリオシドーシスという病気で、キャリヤおよびアッフェクテッドは遺伝子の変異を検査することによりわかります。 確定診断に遺伝子型の判定が役に立ちます。

  今後、順次説明を追加していきます。



遺伝子検査のすすめ

1.  成犬になってから遺伝性疾患を発病すると高額な治療費が必要になるので、病気として発症する前に検査を受けると遺伝病の原因となることが知られている遺伝子の状態がわかります。 さらに遺伝性疾患の知識を持ち対処することにより、QOLを高めることができます。

2. 飼い主が遺伝病の原因遺伝子の検査をすることにより、ブリーダーやペットショップに遺伝性疾患のない証明を促し、飼い主が安心してペットを購入する社会の到来を促進することができます。

3. 遺伝子診断をすることで、発症する前あるいは発症していても経過を予測し、対応をあらかじめ予測したりして考えることができます。 ただし、獣医学的な意味での病気の診断は、資格のある獣医しかできませんので、ご注意ください。 病気の診断とは、遺伝子変異の存在だけでなく症状の確認診断が必要だからです。 

4.  遺伝子検査は、口腔粘膜細胞から抽出したDNAで分析できます。 また、獣医さんにお願いするのであれば、もちろん血液や他の組織片でも行うことができます。

5. 親子鑑定について
   いくつかの遺伝子マーカーを分析することにより、個体の遺伝子型がわかります。 それを親の候補の遺伝子型と比較することにより、親子を鑑定することができます。 これに使われる方法にはマイクロサテライトと呼ばれる繰り返し配列の長さの分析や一塩基多型(SNP)のパターンの分析などがあります。

     素人の方でもできると思われる口腔粘膜から試料を採取する方法はこちら。

   遺伝病の遺伝子検査の実施については、遺伝子ベンチャーの(株)ベクタへ

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